考えてもみて下さい。
返済能力のない人に、何故サラ金が気前よく貸してくれるのかを。
理由は単純です。返せない人が発生することは折込済みなのです。つまり多くの人に法外な利息を要求することの本質がそこにあるということです。
運よく返してくれた人の、高額に上る利息のみを、当てにしているわけです。
サラ金の本音がそこにあるのですから、借り手がその悪巧みに踊らされる必要はありません。リスクを承知で貸すことを貸金業法は禁じており、サラ金側に瑕疵があることは明らかです。
もちろんサラ金側も、絶対に返してくれないと分かっている人に貸し出すことはありません。
しかし、信用情報機関の把握は十分ではなく、個々の借入れ残高が分からないこともあるのです。だからサラ金は借り手の返済能力を計ることもできずに、貸し与えるのです。貸金業規制法の改正は、こうした背景をもとにして行われました。
サラ金が借り手の返済能力を正確に把握することを課し、過剰貸付を未然に防ぐことを目的としたものでした。
具体的には新たに信用情報機関の制度を構築し、サラ金にその制度、情報システムを利用することを義務付けたのです。
例えば、50万円、100万円を超える額の貸付を行う場合、サラ金は源泉徴収票を求めなければなりません。年収から算出した額を基準とし、その基準を超える貸付を禁じたのです。いわゆる「総量規制」と呼ばれるものがこれに当たります。
サラ金としては、信用情報機関からもたらされる情報を精査しなければならなくなり、手間が増えました。その手間を省いてしまうと、業務改善命令、業務停止等の行政処分を受けることもあります。
取引履歴を請求しよう
自分に過払い金があるかどうか分からない、そういう方が多いかと思います。
過払い金の有無を確認するためには、まず必要なのが取引履歴です。過払い金の有無は貸金業者の方から通知してくることはありません。そのため、借りた側が過払い金があることを証明しなければいけません。
取引履歴には、いついくら貸したか、いついくら返ってきたかが書かれています。それを元に過払い金があるのかないのか、そしてある場合はどのくらいの金額が過払いになっているかを計算することができます。
もちろん、取引履歴が無くても、返済ごとの領収書や振り込み明細書が残っていればそれらを元に計算することができます。過払い金発生の1つの目安として、返済期間が5年以上になります。
長い期間の取引の場合すべての記録が残っていない方が多くいると思いますので、過払い金を請求する上で最初にやるべきことが取引履歴の開示請求なのです。
「開示請求」と聞くと難しく感じますが個人情報保護法により、貸金業者は取引履歴を利用者本人に対して開示する義務があるので、難しく考える必要はありません。
さらに、2005年7月には最高裁判所が保存している取引履歴を開示する義務があるという判決を出しました。
この判決を受けて、金融庁のガイドラインでは取引履歴を開示しなければ貸金業者の営業停止や貸金業登録の取り消しなどの行政処分の対象となることが決まりました。
すでに5年以上、貸金業者と取り引きをしている人はまずは取引履歴の開示請求をして引き直し計算により過払い金の有無を確認することから始めてみてはいかがでしょうか。
取引経過
ここで、過払い金返還請求額の根拠となる、取引経過について、説明しておきましょう。何年も借り続け、返済し続ければ、ATMの操作の都度手にする明細書は、紛失してしまうものです。
保管するのも面倒になり、つい捨ててしまうのです。
その場合は、取引経過をサラ金に請求する必要があります。
サラ金が大手であれば、請求書の類が、自社のホームページ等で、ダウンロードできるように準備されています。そちらからダウンロードして、プリントアウトしましょう。
こうした措置はサラ金の自発的なものではなく、個人情報保護法に定められているからです。個人情報保護法では、利用者の個人情報の取り扱い、管理について厳格に定めているのに加え、利用者から開示請求があれば、それに応じなければならない旨が定められています。
ですから万一サラ金が開示請求に応じなければ、営業停止、貸金業登録の抹消など、重い行政処分が下されかねないのです。
大抵の業者はそこまでして拒もうとはしませんから、遠慮なく請求して下さい。
開示請求は郵送が望ましいでしょう。
請求方法や書式が、業者によって細かく定められている場合は、そちらに従って構いません。しかし合理的な理由でないものは、どういうことなのか問い合わせてみるのも悪くないでしょう。
その結果、理由に納得できない場合は、独自の請求書を作成するとよいでしょう。サラ金の指定する請求書でなければならない決まりはありませんから、堂々と作成し、郵送して下さい。
開示請求書の例はたくさん紹介されていますから、そちらを参照されるとよいでしょう。免許証の写し等を添付するのはどこも同じです。
なるべく記録の付く郵送方法で送りましょう。